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品質工学パラメータ設計

こんにちは先端技研の中根です。

今日は品質工学パラメータ設計について説明したいと思います。

品質工学と聞くと、なんだか難しいと思われるかもしれませんが、ごくあたりまえのことをいっています。そして品質工学パラメータ設計をうまく使うと・・・

弊社では品質工学パラメータ設計の導入支援をします。

パラメータ設計のコストダウン要因には3つあります。

①技術開発段階で開発下流や市場で受ける誤差因子をシステムに入れて入出力の評価をすることにより、ロバスト性の高い技術開発が可能。その結果、開発効率が向上して、手戻りがなくなることによりコストダウンが期待できます。

②ロバスト性が高い技術を製品に入れることにより、製品が上市した後に公害やトラブルクレームなどの社会に与える損失を最小限にすることが可能。図中グラフは損失関数というグラフです。製品バラツキを小さくすることにより損失Lが小さくなり、コストダウンが期待できます。

③技術開発の段階で魅力ある商品を構想して、そのアイデアの実現性を検証するために1DCAEなどのツールで検証します。1DCAEに様々な誤差因子を入れて検証することにより、トラブルの出ない付加価値の高い商品開発ができるため、コストダウンが期待できます。

品質工学がわからなくなる理由に用語が独特である事が挙げられます。でも一度覚えてしまえばどんな技術にも応用できるので覚えてしまいましょう!

誤差因子:お客さまの使用条件(温度、湿度、耐久劣化など)

損失関数:特性yが目標値mから±Δずれた時の損失を2乗近似したもの

詳しい話は「品質工学入門講座」で事例を交えて説明します。

活用事例は実験からCAEまで広範囲に利用できます。これから説明する2つの事例は品質工学会で発表された事例です。

1つ目の事例は実験によりプリンターから出力された紙の変形を抑えた社会損失低減の事例です。定着装置にユーザーの条件であるトナーの載り量や紙種、使用環境などの誤差因子を入れてパラメータ設計を実施しました。評価の方針としては定着装置に入る前後の紙が持っているエネルギーを評価しています。そして要因効果図SN比の高い組み合わせである最適条件と最適化を施す前の現行条件とのSN比の差である利得を推定します。そして最適条件と現行条件で再現実験を行いました。結果はSN比の利得は推定利得に対して再現実験で得られた利得の再現性は82%と高い再現性が得られました。再現性が高いということはこの技術が開発下流や市場に出た時に誤差因子に対して強いことが検証できたのでロバスト性の高い技術だといえます。機能の効果を検証したところバラツキが85%低減したことが確認できます。そしてこの技術を搭載した製品を上市して調査を行ったところ従来製品に対して定着装置起因のトラブルが1/10まで低減し、サービスマンの出動などによるレーバーコストが月あたり1億円までコストダウンできました。

要因効果図:制御因子(パラメータ)の主効果を示すグラフ

SN比:誤差に対する強さを数値化したもの。大きい程、強い。

最適条件:SN比が最も高くなる制御因子(パラメータ)の組み合わせ

推定利得:要因効果図での現行条件と最適条件のSN比の差分

再現実験(再現性):最適条件が市場再現するか確認する実験(度合い)

利得:確認実験で実際に得られた現行条件と最適条件のSN比の差分

2つ目の事例は1DCAEにより、複合機の筐体内の冷却構成を改善した商品の付加価値を向上させた事例です。複合機内部の温度を一定に保つことは安定した画像形成を行う上で重要です。まず複合機内の気流の流れを気流回路モデルのExcelで表現します。この気流回路モデルにはダクトやファンの配置をしています。評価の方針は複合機に加えるエネルギーと冷却に使用するエネルギーを評価しています。誤差因子はファンやダクトの寸法バラツキをとっています。この1DCAEでパラメータ設計を実施したところ、SN比の再現性は98%と非常に高い結果が得られたのでロバスト性が高い技術であることがわかりました。またばらつきの低減だけではなくエネルギー効率の良い技術でした。この技術は5機種の製品に搭載され、月あたり約2千5百万円のコストダウンを実現しています。

品質工学パラメータ設計で提供可能なサービスについて説明します。

【サービス1】 

品質工学入門講座毎週第3木金曜日に2日間開催しております。1DCAEのOpenModelicaを使って付加価値を上げる技術開発を学べます。

【サービス2】

品質工学推進支援 パラメータ設計のやり方をお客様の業務に沿って支援することによって、自走できるレベルまで引き上げます。

【サービス3】

品質工学業務委託 お客様の業務内容を教示いただければ弊社が計画から実験まで実施いたします。結果報告ともにパラメータ設計のやり方を理解できます。 

サービス内容に関しましてはお客様の要望に沿ってカスタマイズさせていただきます。詳細は弊社営業までお問い合わせください。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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