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品質工学パラメータ設計3

こんにちは先端技研の中根です。

本日は品質工学パラメータ設計の計画の立て方、手順について説明します。

前回のブログではSN比と感度について説明しました。パラメータ設計はいかにSN比の高い組み合わせを求めるかが重要になります。バラツキを安定化させるために何を測定(評価)するか?これが重要になります。SN比というバラツキ指標を計算していくので加法性(加算ができるデータ)のあるデータを取り扱う必要があります。ヒントとして、エネルギーを出しましたがエネルギーでなくても加法性のあるデータはいくらでもあります。このデータを品質工学では機能と呼んでいます。一つの技術にはこの機能が多数あって、その最上流の機能を「基本機能」と呼んでいます。機能を考えるにあたって知っておく必要があることがあります。

動特性と静特性です。上の例は横軸に自動車の排気量、縦軸に測定値を示しています。測定値はエネルギーで考えるとエンジンの仕事量としてもいいです。排気量が上がるにしたがって測定値(仕事量)は線形上昇すると思います。低排気量から高排気量までの測定値をとる方法が動特性、所定排気量の測定値のみをとるのが静特性と考えて下さい。車の性能を評価するにあたり、全ての排気量のデータを取るのは効率が悪いと考え、静特性の評価をしがちですが自動車開発全体から考えると動特性でデータを取得して、開発を進めた方が良いです。パラメータ設計では常に効率を重視して計画を立てています。

静特性の種類

動特性の種類

上図は静特性の種類と動特性の種類を示した表です。それぞれSN比と感度の計算式が異なります。この特性の中では静特性の望目特性と動特性のゼロ点を使うことが多いです。機能が決まって、何の特性で評価するか決まったら、次は誤差の要因である誤差因子を考えます。誤差因子は決めた機能を乱す外乱になります。例えば気候環境、耐久劣化、使用方法などユーザーの条件である誤差因子はいくらでも考えられると思います。ここで注意しなければならないのが誤差因子は偶然の誤差ではなくて、設計者が意図的に与えた誤差になります。また誤差因子に対してロバストな技術開発をするので、機能が誤差因子に対して反応してくれなければなりません。誤差因子を与えた時に機能がまったく反応しなければその実験は失敗になります。

最後に実験の因子(制御因子)を考えて、直交表に割り付けます。直交表は実験計画法4で説明しましたので、説明を省略しますが制御因子の数と水準に合わせて選定する必要があります。上表はA~Hの8つの制御因子を直交表L18に割り付けたものです。実験は行毎に18回実施することになります。

18回の実験結果からそれぞれSN比と感度を計算して、各制御因子の要因効果を確認します。

SN比要因効果図をみるとSN比に対して、どの制御因子が寄与しているのかわかります。そして、各制御因子が最大となる組み合わせを最適条件と呼びます。この最適条件は本当に正しい結果なのでしょうか?それを検証するためにパラメータ設計ではSN比の「再現性」という考え方を重視しています。

本日はパラメータ設計の計画の立て方と手順に関して説明しました。次回は実際のデータを使用して静特性の実験計画から再現性まで説明していきます。

最後までお読みいただきありがとうございました。