品質工学パラメータ設計2
こんにちは先端技研中根です。本日は品質工学パラメータ設計の重要な考え方であるSN比と感度について説明したいと思います。みなさんが実験をする時に何に注意していますか?実験計画法では実験は誤差の影響が少なくなるように実験をするように勧めています。しかし、パラメータ設計はその真逆で誤差を因子に割り付けて(誤差因子)積極的に利用しています。どちらが正しいということではなくて、目的により使い分けると理解していただければよいと思います。実験計画法では技術の状態を正確に把握する。パラメータ設計では技術を誤差因子に割り付けて、その上で誤差因子に対して強い(ロバスト性)技術開発を行い、さらに感度を高める設計をします。誤差因子に対する強さをSN比で評価をして、実験計画法で説明しました主効果を感度で評価します。
それでは実際のデータを使ってSN比と感度を算出していきましょう。上図右下は射出成形機で成形した製品です。出来上がった製品が正しい寸法で仕上がっているか評価をするために測定基準からの距離をレーザー測長器で測定します。射出成形機の型寸法の距離を寸法の真値として寸法の測定値を左表に示しています。この表をグラフ化すると原点付近を通る線形性があることがわかります。このグラフの傾きが感度(β)で測定値からのばらつきをSN比と呼んでいます。
SN比を数式化するとこのような式になります。2乗計算をしているので最後は対数化しますが分母にばらつき、分子に感度βつまりグラフの傾きになります。つまりSN比が大きいとは寸法の測定値ばらつきが小さく、感度傾きが大きいことになります。パラメータ設計ではSN比が大きくなる条件をまずは探索します。それでは上表のデータのSN比と感度を実際に計算してみましょう。
計算式をみると①~⑦は実験計画法で説明しました分散分析と同じです。⑧で感度を⑨でSN比を計算しています。また感度とSN比の単位はdbという単位を用いています。電気信号の単位dBとは異なる単位を付けています。このSN比を使って、パラメータ設計を実施することになりますが詳細な事例の説明は次回以降に説明します。今回はパラメータ設計で使用するSN比と感度について説明しました。最後までお読みいただきありがとうございます。