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品質工学MTシステムに関して3

こんにちは先端技研の中根です。前回のお話ではMTシステムの判別に関して説明しました。しかしMTシステムはデータの異常判別だけではなくパターン認識、予兆予測など実にさまざまな分野で応用がききます。気がつかれた方もいらっしゃるかもしれませんが現在ではAIでカバーしている分野と同じなのです。それではAIに比べてどこが違うかと言うと

1.計算時間が少ない

2.単位空間(特徴空間)の数が複数で明示的

3.計算方法が数式化されている(相関行列)

などが挙げられます。計算時間はAIは機械学習を用いて複雑な計算をしているのに対して、MTシステムは計算式が相関行列を使用しますが単純などで時間が短くて済みます。また単位空間はAIが非明示で個性を持っているのに対してMTシステムは明示的でわかりやすいです。どちらも一長一短あると思いますが、こういうやり方もあることを覚えて損はないと思います。

MTシステムにはたくさんの種類がありますが予測に関して有効なT法に関して説明をしたいと思います。例として上図のような温度推移の実験データがあったとします。この実験データから予測式を作るにはどうすれば良いと思いますか?熱に関するパラメータはわかっているとします。各パラメータから予測式を作る方法は色々あると思いますが、よく使われているのは重回帰分析だと思います。重回帰分析はExcelでも計算できるので手軽に使えると思います。しかし決定係数(予測と実測の乖離)を上げるにはデータ数をたくさん用意する必要があります。T法では実験データが少なくてもある程度の予測式を作ることができるのです。

T法手順はいたって簡単です。まず既知のパラメータを入れた実測値で中央値に近いデータ群を集めて単位空間とします。同様に他のデータを信号空間に入れます。そして未知のデータ(パラメータ値が不明のデータ)を単位空間と信号空間から予測する。これだけです。またT法の数理は逆行列などを使用しないので計算式も単純です。また前回説明しました項目診断もできるので、予測に効くパラメータを確認することもできます。

いかがでしたでしょうか?3回にわたってMTシステムの説明をしてきました。MTシステムはデータ数が少なくても計算ができるのでサロゲートモデルとしても使用できると思います。私が良いと思うのはデータを見て納得しながら計算ができるのがよいと思っています。自動車開発、宇宙開発などさまざまな分野で使用されているのでご興味があればご連絡をお願いします。

最後までお読みいただきありがとうございます。